「人間は単なる化学物質の塊ではなく、電気で制御された生命体である」
整形外科医ロバート・ベッカー博士は、著書『ボディ・エレクトリック』(『なぜ近代医学はこの原理を見落としてきたのか 生命は生体電気で動く 失われた手足・臓器までも蘇らせる力』)で生体に秘められた電気的な自己治癒力について書いています。
現在は美容や医療でも使われている「マイクロカレント(微弱電流)」についてまとめました。
1. サラマンダー(サンショウウオ)が証明した「損傷電流」
ベッカー博士は、手足を完璧に再生できるサラマンダーの切り口の電位を測定しました。
切断直後は一時的にプラス電位になりますが、数日以内に急激にマイナスへと反転し、約30ミリボルトの強い負の電流が約2週間維持されました。
博士はこの持続的なマイナス電流を「損傷電流(Current of Injury)」と名付け、これが細胞への再生シグナルであることを突き止めました。
一方、再生能力のないカエルでは、一時的なプラスの後はすぐにゼロ電位へと戻ってしまい、マイナスへの反転は起こらず、傷口はただのかさぶたや傷跡で塞がれるだけでした。

【体内で起こっていること:細胞の脱分化】
損傷電流が流れると、傷口周辺の皮膚や筋肉として役割が固定されていた細胞が、その専門性を捨てて、何にでもなれる原始的な細胞へと先祖返りします。
これを「脱分化」と呼びます。
この未分化な細胞の塊が、マイナス電流の導きによって、かつてそこにあった組織を正確に再現していきます。

2. 骨が自らを作り変える「ピエゾ電気」
博士は、哺乳類の体内にもこの電気制御システムが存在することを、骨の研究で証明しました。
骨には「加わる力(ストレス)に応じて、最も耐えうる形へと自ら変形・成長する」という法則(ウルフの法則)があります。
博士は、骨の構造物質が圧力を受けることで発電する「ピエゾ電気(圧電効果)」の性質を持つことを発見しました。
圧迫された側(凹側): マイナス(−)電位が発生
引き伸ばされた側(凸側): プラス(+)電位が発生

【体内で起こっていること:骨芽細胞の電子的制御】
生きた骨に負荷がかかると、ピエゾ電気による微弱な電場が発生します。
マイナス電位が発生した場所には「骨芽細胞(骨を作る細胞)」が集まって骨を補強し、逆にプラス電位の場所では「破骨細胞」によって不要な骨が削られます。
博士はラットの骨折部位に微弱なマイナス電流を流す実験を行い、骨折の治癒が劇的に加速することを証明しました。
3. 「マイクロカレント」とミトコンドリアの活性化
これらの発見をベースに開発されたのが「マイクロカレント(微弱電流)療法」です。
一般的な電気治療器が筋肉を強制収縮させる強い電流(mA単位)を使うのに対し、マイクロカレントはμA(マイクロアンペア=100万分の1アンペア)という、体感できないほど極小の直流電流を流します。
これは人間の体が日常的に発している損傷電流と同レベルの電流です。
【体内で起こっていること:ATPの爆発的増産】
マイクロカレントが体内に導入されると、細胞の発電所であるミトコンドリアの膜を挟んだイオン濃度勾配が最適化されます。
これにより、生命のエネルギー通貨とも呼ばれるATP(アデノシン三リン酸)の生成量が最大約500%(5倍)にまで上がることが分かっています。
細胞は豊富なATPを使って、組織修復のためのタンパク質合成を通常より30〜40%も加速させます。
まとめ
生体電気(損傷電流)が細胞に再生を促す
生き物の傷口に流れる微弱な電流(損傷電流)は、役割が固定された細胞を何にでもなれる状態に戻し、組織を正確に再生させるシグナルになります。
マイクロカレントは細胞のエネルギーを爆発的に増やす
体感できないほどの微弱電流(マイクロカレント)を外部から流すことで、ミトコンドリアのATP(エネルギー)生産量が最大5倍になり、組織の修復が劇的に加速します。


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