『あるヨギの自叙伝(パラマハンサ・ヨガナンダ 著)』を知っていますか?
Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが、自身の人生を締めくくる際に「大切な人たちへ最期に贈ったギフト」としても知られています。
今回は、そのジョブズのエピソードと、物語の始まりである著者ヨガナンダの幼少期の目覚めについてご紹介します。

シリコンバレーを揺るがした「最後のメッセージ」
2011年10月、スティーブ・ジョブズがこの世を去った後、スタンフォード大学で非公開の追悼式が行われました。
参列したのは、シリコンバレーのトップ層やビジネスリーダー、そして彼の親しい友人たちです。
式が終わり、参列者たちが会場を後にする際、ジョブズが事前に細部まで計画していた「あるギフト」が手渡されました。
それは、小さな茶色の箱に入れられた一冊の本であり、それが『あるヨギの自叙伝』でした。
このエピソードは、参列者の一人であった米セールスフォースのCEO、マーク・ベニオフ氏が、2013年のテクノロジーカンファレンスの壇上で明かしたことで世界中に知れ渡り、
米有力ビジネス誌『Inc.』などでも「ジョブズの偉大さの秘密」として大きく報じられました。
ベニオフ氏はインタビューで当時を振り返り、こう語っています。
「箱を開けたとき、私は直感しました。これこそが、彼が私たちに最期に考えてほしかったメッセージなのだと。
外側の世界(ビジネスやテクノロジー)ばかりを見るのをやめ、自分自身の内側を見つめ、自己実現(Self-Realization)を果たしなさい、という彼からの遺品だったのです。」
ジョブズは17歳の時に初めてこの本に出会って以来、生涯にわたって毎年必ず読み返し、iPadにも唯一この本だけをダウンロードして、旅先でも繰り返し目を通していたといいます。
世界を変えるイノベーションを起こし続けた天才の直観や決断力の源泉には、常にこのヨギの知恵がありました。
奇跡に満ちた日常と、少年の魂の目覚め
『あるヨギの自叙伝』は、著者の特異な幼少期の記憶から始まります。
のちにパラマハンサ・ヨガナンダと呼ばれることになる少年の本名は「ムクンダ」。
彼は、自分が母親のお腹の中にいた時の感覚や、言葉を話せない時の記憶、さらには前世の記憶を鮮明に持ったままこの世に生まれました。
物質的な肉体に閉じ込められ、自由を制限されていることへのもどかしさを感じていたムクンダ少年は、幼い頃から人一倍強い「霊的な渇望」を抱くようになります。
幸いにも、彼の家庭は精神性を重んじる温かい環境でした。
父と母はクシャトリヤカーストのベンガル人で、二人とも聖人のような性質に恵まれていました。

そして、家には時折、不思議な力を持つ聖者たちが訪れるのが日常でした。
物質主義に染まる前のインドには、目に見えない宇宙のエネルギーを操る本物のヨギたちが身近にいたようです。
運命を決定づけた「神秘のお守り」
そんなムクンダ少年に、人生最初の大きな転機が訪れます。最愛の母の突然の死です。
深く絶望するムクンダでしたが、母の死後、兄を通じて手渡された「母の遺品」が彼の運命を大きく動かすことになります。
それは、母が亡くなる前に、ある偉大な聖者から「しかるべき時にムクンダに渡しなさい」と託されていた神秘のお守り(アムレット)でした。
そのお守りは、ムクンダが霊的な探求の道を歩むべき時が来ると、不思議な光を放ち、やがて役目を終えると忽然と姿を消してしまうという、オーパーツ(神秘の遺物)でした。
母の死という深い悲しみ、そしてお守りがもたらした超自然的な体験を通じて、少年の心の中にあるヒマラヤへの憧れ(真理を求める旅)は、抑えきれないものとなっていきます。
次回:インドの聖者たちとの邂逅
幼少期から「目に見える世界がすべてではない」ことを知っていたムクンダ少年は、やがて家を飛び出し、本物の真理を求めてインドの地を彷徨い始めます。
次回は、彼が本格的な修行に入る前に出会った、現代の科学では説明のつかない「超自然的な力」を操る奇妙で偉大な聖者たちのエピソードをご紹介します。
空中からお香の香りを湧き出させる聖者や、重力をコントロールして宙に浮く聖者が登場します。


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